事例 6 30代のF様 「教習所での深視力検査は適当に答えたら当たった。しかし本番ではダメだった。 他店でメガネを作り、コンタクトレンズも作ったが、やはりダメでした・・・・」 当店での検査 両眼開放屈折検査での基本度数(5m)は、 R(1.2×S+0.25D C−1.50D Ax85 ) L(1.2×Sー5.50D C−0.50D Ax70) 左右眼で度数差が大きい「不同視」です。 子供のときから左眼は見えにくくなっていたとのことです。 深視力(深径覚)、遠近感覚が不良の原因には、眼に関する事として 1、視力の不良(遠視、近視、乱視など)2、眼位のズレ(斜位、斜視など) 3、不同視(左右の度数差が大きい) 4、眼球運動の不良(眼を内よせする力不足、眼を外よせする力不足など)などがあります。 メガネのハマヤでは深視力検査に合格するように、視力で0.8以上見えるメガネを作ります。 立体視が悪いようでしたら、悪い原因を探り、立体視が良くなるように調整します。 その上で、遠近感覚が良くなるように深視力計で、目のトレーニングを実施しています 眼位(視軸の向き)は、 R 1△B.U.(ベースアップ) 4△B.I.(ベースイン) 上下斜位に関しては、不同視のかたの場合、テストフレームの微妙な傾きや視線の持っていきかたで「光学的斜位」が検出される場合があります。 それで、裸眼の状態で再度特殊な装置を使って眼位チェックをしてみました。 その結果、上下斜位(ベースアップ)矯正は必要ないと判断しました。 F様の場合、コンタクトレンズを作られていて、コンタクトレンズの上から眼位矯正をする方法もあります。 しかし、コンタクトレンズは角膜を痛める恐れもあります。 将来的なことも考慮に入れて、メガネ矯正をすることになりました。 それで、問題は「不同視」です。 不同視のかたのメガネで大きな問題は、レンズの「プリズム誤差」が生じて疲れやすくなるということです。 プリズム誤差とは そもそも眼鏡レンズはプリズムレンズの集合体と言えます。 レンズの光学中心(光心)以外でモノを見ると、レンズのプリズム作用が生じてしまいます。 この場合、プリズム作用が生じたとしても、左右が同程度の度数であれば、左右眼ともにほぼ同じ量のプリズム作用が生じてきますので通常は問題になることは少ないです。 しかし、左右差のある不同視眼ですと、左右で生じるプリズム作用が大きく異なってきます。 この誤差を「プリズム誤差」といいます。
プリズム誤差は水平(横)方向の誤差はあまり気にすることはありません。 なぜなら、人間の眼は水平方向に動かす眼の筋肉は柔軟性があり、融通が利くからです。 しかし、垂直(縦)方向はそういうわけにはいきません。非常に融通が利きづらいです。 垂直方向にプリズム誤差が生じれば生じるほど、疲れやすくなります。 F様が子供のときから適切に不同視を矯正していたら、プリズム誤差問題もクリアしていて、おそらく深視力検査もスムーズに合格していたのではないでしょうか。 といっても、片眼が見えていれば、大きな不自由はないので、そのまま過ごされていたのでしょう。 実際、私も子供のときから「不同視」で子供の時は眼鏡矯正をしていませんでした。 なので、その気持ちはわかります・・・・。 しかし、不同視は視機能不良が起きやすくなります。 視機能のなかでも最高機能を要求される「深視力検査」などが苦手になります。 当然、通常の車の運転などにも支障がでてくることもあります。 さて、それでF様の調製度数をどうするか・・・・。 通常、不同視のかたの場合、まず、左右眼で度数差の少ないメガネを選択して、「徐々に度数を適切度数に近づけていく」方法でいく場合が多いです。 しかし、今回の目的は「深視力検査合格」です。 度数差を少なくすれば、視力検査にも不合格になる恐れがでてきます。 それで、視力検査には合格できそうな R S+0.25D C−1.50D Ax85 3△B.I. L Sー4.50D C−0.25D Ax70 で、装用テストをしてみました。 当然「違和感があります」と訴えられました。 今回、「深視力合格が目的ですから・・・」と、ご説明。 この度数での深視力検査は、「棒の動きがわかりません」とおっしゃいます。 棒の動きが分かりづらいのは、想定内です。 そんなに簡単に、高度な視機能が発揮できるとは思えません。 その機能を発揮するには、しっかりと深視力検査(視機能)トレーニングをしていだくことになります。 暫くトレーニングをしていただき、度数の調製をしてみました。 R S+0.25D C−1.50D Ax85 3△B.I. L Sー5.25D C−0.25D Ax70 すると、この度数のほうが深視力検査においては向上する感触がありましたので、F様とのお話合いの結果、上記の度数に決定しました。 後日、調製したメガネで本番の「深視力検査」に臨んでいただきました。 結果は・・・・残念ながら不合格。 再度、トレーニングをしました。 1週間後の試験では・・・・・これも不合格。 できれば、半年ぐらいは調製したメガネで過ごされて、その上で視機能トレーニングをしたほうがいいのですが、そうはいっておられない事情もあります。 なんとかして合格してもらわないと・・・当方の腕の見せ所でもあります。 そこで、秘密兵器の「深視力トレーニングボックス(仮称)」貸し出しさせていただきました。 「これでしっかりと、お家で練習してください」と。 あと、視機能トレーニンググッズもお渡ししました。 その後、「合格しました!」と嬉しいご報告をいただきました。 「やれば、できる!」ということで、不同視のかたも「深視力」を諦めないでください。 本番の深視力検査に何度か挑戦していただく場合もありますが、それも貴重な練習(視機能トレーニング)と考えてください。 途中で諦めるのは絶対にもったいないです。
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