事例5 50代のE様 「教習所は卒業したが、本番での深視力検査でダメだった」とご来店されました。 当店での検査 裸眼視力 R (右眼)0.5 L (左眼)0.5 両眼開放屈折検査での基本度数(5m)は、 R(0.7×Sー1.25D ) L(1.2×Sー0.75D C−0.50D Ax90) 右眼の矯正視力が、左眼に比較して弱かったです。 眼位は7△~10△B.O.(ベースアウト)、大きな内斜位があります。 中学生の時に斜視の手術をされています。 さて、片眼の視力が弱いかたの深視力。難しい点があることは否めません。 それは、深視力検査は人間の持っている最高レベルの視機能を要求されるからです。 片眼の視力が弱いということは、高い視機能を発揮することが困難になります。 こんな場合、当店は「少しでも視機能を高める努力をする」方針です。 E様は右眼の矯正視力が弱くて、その原因の一つは内斜位(内斜視)にあるのは間違いないので、少しでも眼位を整えて両眼の連動がよくなるようにしていきます。 内斜位のプリズム量は、深視力計でも検査していきます。 ↑三桿計(深視力計) プリズム量を変えつつ、深視力計で棒の動きが一番わかりやすく、かつ弱いプリズム量を探っていきます。 そのプリズム量を探すのは、プリズムを入れることにより違和感も発生する可能性があるからです。 基本的には試験用としてだけではなく、日常的にも掛けられるメガネを調製していきます。できるだけ違和感も少なくしたいからです。 結果、E様の調製度数は R Sー1.00D 4.50△B.O. L Sー0.75D C−0.50D Ax90 4.50△B.O. 後日、「試験、通りました」とご連絡をいただきました。 めでたし、めでたし。 片眼の視力が弱いかたは深視力検査で難儀することも少なくないのですが、E様は意外とすんなりと合格することができました。 適切なプリズム矯正が功を奏したこともあるでしょうし、プリズムに対する適応能力も優れていたのでしょう。 E様は学生時代に斜視の手術をされ、その後トレーニングもしたそうですが、トレーニングは直ぐにやめたそうです。 トレーニングに関しては内斜位のトレーニングは効果が期待し辛い点もあるので、それよりも術後に残っている眼位ズレ(内斜位)を適切に矯正しておくべきでした。 そうすれば、右眼の視力が弱くなることはなかったでしょう。
ちなみに、E様のプリズム矯正は左右眼に振り分けて調製しています。 単焦点レンズ(遠近両用レンズではないレンズ)で、プリズム矯正をする場合、左右眼で矯正度数がほぼ同じぐらいであれば、特殊な場合を除いて一般的には、プリズムは左右眼で振り分けます。 (振り分けは左右同じにすることもありますが、左右眼でプリズム量を変えることもあります) たとえば、 右眼 S−1.00D 左眼 S−1.00Dの近視度数で「6△ベースイン」プリズムの場合、 右 3△ベースイン 左 3△ベースインで作ります。 振り分けることにより、「左右眼で厚みがそろう」メリットがあるからです。 レンズの収差の点でも好都合です。 片眼だけにプリズムを入れる方法もあるのですが、斜位の矯正は左右眼でレンズの厚みを揃える目的で、通常振り分けます。 もし、振り分けをしないと ↓ これぐらい、左右で厚みが違ってきます。 これは眼科発行の処方箋で作ったメガネで、左眼だけに6△プリズムが入ったメガネです。 お客様には振り分けることをご提案し、お客様から眼科にも振り分けのことを提案していただいたのですが、眼科は「処方通りに」ということでした。 この場合、振り分けをしないほうがいい特殊な場合だったのかも知れませんが、眼科からはその説明はなかったとのことです。 説明がないということは、可能性とすれば振り分けることを知らないか、それともメガネ屋に指摘されることが気に入らなかったのではないでしょうか。 プリズムは光学的、力学的、美的要素も考慮に入れて調製したほうがいいです。
|
〒781-2105
高知県吾川郡いの町新町66
TEL.088-892-0171
定休日 毎週木曜日・第三水曜日
営業時間 午前9時〜午後7時