事例3 徳島県からお越しの C様 教習所は卒業されましたが、大型免許を所得するために深視力が必要です。 当店での検査 両眼開放屈折検査での基本度数(5m)は、 R S−4.00D C−1.00D Ax105 L S−4.75D 眼位は、内斜位 2.0△B.O. 精密立体視検査は、プリズムで内斜位を矯正して40″までできました。 (視標での結果は、秒″で示されることが多いです)
ただし、浮きあがりを感じるまでに、やや時間を要しました。 当店の精密立体視検査視標は、5mでの浮きあがりは、上段より約45p、23p、11p、9pです。 立体視が存在していないかたは、この検査ではまったく浮きあがりを感じません。 立体視の弱いかたは、浮きあがりが分かるまでに時間を要したり、23pの「□」までしかわからないかたもいます。 立体視と深視力は関連していますが、立体視がないから深視力はダメというわけではありません。 両眼視機能が良くないと立体視は困難ですが、遠近感は単眼視の状態でも感じることができます。 「立体視」と「遠近感」とは違うということです。 深視力試験には高度な立体視と、遠近感が優れていることが理想ですが、立体視が弱くても遠近感を高めることで試験に合格することが可能です。 もちろん、実際の車の運転には、より優れた深視力があったほうが安全です。 C様は R S−4.00D C−0.75D Ax105 L S−4.50D の度数で調製。 基本度数よりも約1段階弱めています。 基本度数より、やや弱めた分、無限遠の見え方は基本度数よりもやや劣るのですが、近視で内斜位があるかたには、近視度数を弱めたほうが好都合です。 斜位があるかたは、眼の疲れや、頭痛、肩首コリなどの症状を訴えるかたが少なくありません。 斜位量、斜位の方向、融像幅、環境、などによってもその症状のでかたはまちまちです。 車の運転などには、内斜位のかたのほうが眼位ズレを融像するためのたえざる努力を強いられますので、斜位症状が伴うことが多くなります。 また、内斜位のかたのほうが、滑らかな眼球運動ができづらいために、深径覚の不足が起こりがちです。 C様の場合、まず1△B.O.矯正で、三桿計にチャレンジしていただきました。 2△B.O.にしなかったのは、違和感のことも考慮に入れるからです。 斜位を矯正するプリズムレンズは、どうしても空間視の違和感が生じる場合があります。 内斜位を矯正するプリズム基底外方は、壁などがへこんで見え、距離感は遠くに感じます。 その違和感の感じ方は「前のメガネは、どうだったか」によっても、大きく左右されます。 C様の前眼鏡の光心は、C様のPD(瞳孔間距離)よりも広く入っていました。 これでは、内斜位を助長することになります。
これが、内斜位をやや補正する方向に光心が入っていたら問題ないのですが、今回正しく光心を設定して、適切なプリズム矯正をすると前眼鏡と大きく変化することになり、大きく違和感を感じやすくなります。 人間は大きな変化を嫌います。 それで、ひとまず少なめのプリズム矯正量で深視力の検査をし、装用テストで装用感などの確認をしていただきました。 すると、なんなく深視力はOKでした。 空間視の違和感もそれほど感じないということで、1△B.O.で調製しました。 もし、1△B.O.で深視力が不良であれば、1.5△、2.0△とプリズム量を増やすことも考えていきます。 後日、C様からメールをいただきました。 「○月○日に、思っていた以上にすんなり、大型免許を取得できましたことを、報告いたします。まことに、お世話になりました。次回の免許更新は、平成○○年の予定です。その頃には、老眼もはじまり、再度お世話になるかもしれませんので、よろしくお願いいたします。このたびは、ありがとうございました。 」 良かったです。 立体視を阻害する要因の一つに不正確な屈折矯正があります。 遠視、近視、乱視が正しく矯正されていないと、調節力と輻輳力のバランスが悪くなり、深視力に影響を与えることもあります。 深視力を必要とするかた、もしくは今後深視力が必要になるだろうと思われるかたは、必ず「両眼視機能」を意識してください。 両眼視機能は、屈折や眼位に問題があると、その機能は低下します。 機能が低下したまま数年間を過ごすと、正常な機能が発揮できなくなる場合もありますし、最悪、抑制することもあります。 「メガネは見えればいい」と思っているかたも多いのですが、眼の健全な視機能に関しては、その考えは間違っています。 正確な度数で、適切な眼位矯正で、安全運転を心がけしましょう。
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