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眼球運動 2

眼球運動の障害 事例1

40代のA様

「1年前に脳梗塞をし、複視になった。今は正面視はあまり気にならないが、側方視ではかなり複視が気になる」とのことです。

5mでの基本度数は、
R S±0.00D C−1.75D Ax70
L S±0.00D C−1.25D Ax85

眼位(視軸の向き)は、右眼上斜位 R 1.5△B.D.(ベースダウン)。

眼位検査は、真っ直ぐに正面を向いた正面視での値です。

A様は、脳梗塞が原因で、眼球運動に障害があります。
側方視では、外眼筋麻痺による複視が発生し、物が二重に見える状態です。

側方視での眼位を検査してみますと、R 6.0△B.U.〜(ベースアップ)ぐらいで、複視がマシになる感じがありました。
正面視と側方視では、眼位が大きく変動します。

こんな場合、「メガネの調製をどうするか」です。

複視を改善する方法として「片眼遮蔽」がありますが、正面では複視は起きていないので、この方法は×です。
A様の場合、年齢的にも自然治癒が期待できるかも知れませんので、よほどの支障がなければ片眼遮蔽はしないほうがいいです。

上下の複視は、プリズム矯正が有用な場合もあります。
しかし、外眼筋麻痺では見る方向により、偏位量、偏位方向が異なってくるためにプリズム処方が困難な場合もあります。
A様もそうです。

正面視での眼位を矯正し、かつ側方視での複視も軽減できるMプリズム矯正方をご提案しましたが、実用的に使えるかどうかは、わかりません。
それで、ひとまずは正面視での度数で調製し、正面視での眼位を整え、できるだけ正面で物を見るようにアドバイスをしました。
正面視をするには、側方からの情報をある程度遮ったほうがいいので、そういうフレームを選んでいただきました。
 
側方視からの余分な情報や、横からの光線を防ぐことができるフレームです。 

後日、「やはり、側方視での複視が気になる。バイクに乗るときに不便だ」ということで、ご来店されました。

鼻側からの視野も少なくした方がマシだとのことで、オクルージョンをレンズに部分的に貼ってもらうことにしました。
  
オクルージョン
遮蔽することを目的とした膜です。遮蔽の程度が何種類かあります。

必要に応じてMプリズム矯正も試していただくことにしました。
この方法が実用的に使えるのであれば、視機能的にはオクルージョンよりも有用だと思います。

今後、A様の外眼筋麻痺がどのように変化するのかは、予測がつかないのですが、偏位量に応じてMプリズム矯正をすることもできますし、「ディグリーフリップ」での矯正も可能です。
  

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