斜位（隠れ斜視） ２
斜位
事例
遠隔地からお越しの、５０歳代のA様
フィティング調製を依頼されました。
「見え方などの不具合を購入店（量販店）に訴えたが、オカシナ調整をされてかえって具合が悪くなった」とのことです。
ご持参されたメガネは、プリズム入り眼鏡でした。
お客様に掛けていただくと、一目瞭然あきらかにオカシイです。
フレームの状態を確認しますと、ブリッジ（右のレンズと左のレンズを繋いでいる部分）に捻じれがありました。
なぜ、こんな調整をされたのか。
お客様は、購入店に「プリズム眼鏡の具合が悪い」と、訴え「こういう感じに、メガネの位置を変えると多少マシです」と言われたそうです。
こういう感じというのが、↑上の写真のような具合（メガネが左下がりの具合）だったのでしょう。
それでこのように、購入店の店員さんは調整？したようです。
しかし、あろうことかブリッジ部分を捻って、左右のテンプル高さを変えています。
ご持参メガネは、プリズム入りの遠近両用メガネでした。
このやり方ではフレームの傾きが変化しても、左右で頂間距離（角膜とレンズとの距離）が違ってきて、新たな問題が発生します。
そういう知識は、眼鏡技術者なら常識です。
調整されたかたは、眼鏡販売者だったのでしょう。
水平ラインの調整をテンプルでやることは、困難だったのでしょう。それでブリッジを捻ってしまえと。
量販店さんはメガネ販売店としては有名でも「技術的な実情はこんなもの」という面もあります。
事情が事情だけに総点検をして、ブリッジの捻じれも直してキッチリとフィッティング調整をしました。
しかし、適切な調整をしたとしても、斜位の矯正が適切でなければ、具合は悪いままです。
その可能性が高い（調整もマトモにできない店では）ので、調整したメガネで斜位の検査をしてみました。
あんのじょう、斜位の矯正が適切ではありません。
プリズム量がまったく足りていませんでした。
購入されたメガネ店に再度訴えても「適切ななプリズム眼鏡を調製するのは難しいだろう」ということで、当店でレンズを作り直すことになりました。
当店での検査
両眼開放屈折検査での基本度数（５ｍ）は、
Ｒ Ｓー９．５０Ｄ
Ｌ Ｓー９．５０Ｄ
眼位（視軸の向き）は、
左眼上斜位
R １２△〜１３△BU
でした。
上下斜位のあるかたで、眼精疲労などの症状があるかたは、できるだけキッチリと矯正することが原則です。
それは、人間の眼の＊融像は上下方向には働きづらいからです。
＊融像とは、左右眼の網膜像を単一視する機能です。
遠近（累進）両用メガネと、近見専用メガネで調製することになりました。
プリズム量は１２△に決定。１０△以下だと正常な両眼視が困難でした。
ご持参されたメガネのプリズム量は５△でしたから、これでは具合が悪いはずです。
でも、ちょっと問題が。
遠近両用メガネは、プリズムの製作範囲はほとんどのレンズメーカーが３△（片眼）までなんです。
５△まで製作できるレンズもありますが、レンズが限定されます。
これでは１２△は製作できない。
それで、レンズメーカ−に製作範囲外のプリズムレンズの製作を依頼したところ、なんとか引き受けてくれるメーカーが見つかりました。ホッ(^.^)
こういう手間ひまのかかることは、量販店さんはしないでしょうね。きっと。
「大きな有名チェーン店だから安心」とは言えません。大きな組織の有名店だから不安という面もあります。
有名店信仰はしないほうがいいです。
遠隔地からお越しの、５０歳代のA様
フィティング調製を依頼されました。
「見え方などの不具合を購入店（量販店）に訴えたが、オカシナ調整をされてかえって具合が悪くなった」とのことです。
ご持参されたメガネは、プリズム入り眼鏡でした。
お客様に掛けていただくと、一目瞭然あきらかにオカシイです。
 こんな感じのメガネでした。あきらかに、メガネと眼の位置関係がオカシイです。 |
フレームの状態を確認しますと、ブリッジ（右のレンズと左のレンズを繋いでいる部分）に捻じれがありました。
 こんな感じのブリッジの捻じれがありました。 |
お客様は、購入店に「プリズム眼鏡の具合が悪い」と、訴え「こういう感じに、メガネの位置を変えると多少マシです」と言われたそうです。
こういう感じというのが、↑上の写真のような具合（メガネが左下がりの具合）だったのでしょう。
それでこのように、購入店の店員さんは調整？したようです。
しかし、あろうことかブリッジ部分を捻って、左右のテンプル高さを変えています。
ご持参メガネは、プリズム入りの遠近両用メガネでした。
このやり方ではフレームの傾きが変化しても、左右で頂間距離（角膜とレンズとの距離）が違ってきて、新たな問題が発生します。
そういう知識は、眼鏡技術者なら常識です。
調整されたかたは、眼鏡販売者だったのでしょう。
水平ラインの調整をテンプルでやることは、困難だったのでしょう。それでブリッジを捻ってしまえと。
量販店さんはメガネ販売店としては有名でも「技術的な実情はこんなもの」という面もあります。
事情が事情だけに総点検をして、ブリッジの捻じれも直してキッチリとフィッティング調整をしました。
しかし、適切な調整をしたとしても、斜位の矯正が適切でなければ、具合は悪いままです。
その可能性が高い（調整もマトモにできない店では）ので、調整したメガネで斜位の検査をしてみました。
あんのじょう、斜位の矯正が適切ではありません。
プリズム量がまったく足りていませんでした。
購入されたメガネ店に再度訴えても「適切ななプリズム眼鏡を調製するのは難しいだろう」ということで、当店でレンズを作り直すことになりました。
当店での検査
両眼開放屈折検査での基本度数（５ｍ）は、
Ｒ Ｓー９．５０Ｄ
Ｌ Ｓー９．５０Ｄ
眼位（視軸の向き）は、
左眼上斜位
R １２△〜１３△BU
でした。
上下斜位 上側（額側）に偏位しています。 |
それは、人間の眼の＊融像は上下方向には働きづらいからです。
＊融像とは、左右眼の網膜像を単一視する機能です。
| 眼球運動をつかさどる筋肉を「外眼筋」といいます。 外眼筋は、４つの直筋と、２つの斜筋で構成されています。 内直筋が、主に内転および輻輳運動を行う筋肉で、眼筋の中では一番大きく、その作用も外直筋よりも強いです。 外直筋の作用は、、内直筋に比較して弱いです。それで、内斜位のほうに問題が起きやすいです。 上下筋は、さらに弱いです。上下斜位のあるかたは、正常な眼球運動が阻害される確率が高くなります。 |
|
|---|---|
 １９ 外直筋 ２０ 内直筋 ２１ 上直筋 ２２ 下直筋 ２３ 下斜筋 ２４ 上斜筋 正常な両眼視機能は、両眼の眼球運動が正常に働くことが条件です。 |
プリズム量は１２△に決定。１０△以下だと正常な両眼視が困難でした。
ご持参されたメガネのプリズム量は５△でしたから、これでは具合が悪いはずです。
でも、ちょっと問題が。
遠近両用メガネは、プリズムの製作範囲はほとんどのレンズメーカーが３△（片眼）までなんです。
５△まで製作できるレンズもありますが、レンズが限定されます。
これでは１２△は製作できない。
それで、レンズメーカ−に製作範囲外のプリズムレンズの製作を依頼したところ、なんとか引き受けてくれるメーカーが見つかりました。ホッ(^.^)
こういう手間ひまのかかることは、量販店さんはしないでしょうね。きっと。
「大きな有名チェーン店だから安心」とは言えません。大きな組織の有名店だから不安という面もあります。
有名店信仰はしないほうがいいです。
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