プリズムを通過する光線は、基底の方(レンズの厚い方)に進行方向が曲げられます。 これをプリズム作用といいます。 |
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プリズムレンズの基底の方向によって像のズレかたが違います。(像は頂角の方にズレて見えます) |
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マイナスレンズを半分に切ったものです。レンズ中心部よりレンズ周辺部の方がレンズは厚くなっているのがおわかりいただけると思います。 |
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眼鏡レンズはプリズムの集合体と言えます。光心を通過する光線にはプリズム作用は生じません。 |
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両眼の瞳孔中心間距離(pupillary distance)を略してPDと呼んでいます。 |
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PDと眼鏡レンズの光心が一致することによりプリズム誤差は生じません。 |
■眼鏡加工調製の問題点 常用マイナスレンズの心取りは「光心とPDが寸分違わず一致」というのが理想なのですが、メガネ加工の精度上、どうしても多少の誤差がでてきます。 もし、0.1mmでも誤差があればダメということになれば、事実上メガネ調製はできなくなります。 それでは許容誤差はどうなのかといいますと、それは度数や人間の持っている眼球運動の特性によって許容範囲が違ってきます。 人間の眼球運動は 眼の筋肉を内寄せする輻湊力は強く、外寄せする開散力は弱くなっています。 ということは、許容範囲は輻湊力が強要されるよりも開散力が強要される方が狭いということです。 たとえば、PDが60mmで光心が59mmで入った場合と61mmで入ったと場合を比較しますと、輻湊力を強要される方の59mmに入った方がマシだということがいえます。 61mmで入った場合は、眼が疲れる確率が高くなります。 |
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■眼位を考慮に入れた心取り 常用マイナスレンズはプリズム作用やレンズ収差の影響を極力受けないように、光心をPD通りに入れるのが基本なのですが、斜位(眼位ズレ)のあるかたの場合の心取りは、斜位を考慮に入れた心取りをしていきます。 外斜位のあるかたは外方向に眼位ズレがありますから、輻湊力を常に働かせて両眼の視線を注視点に合わせます。 これでは輻湊力の弱いかたなどは眼が疲れますので、プリズム作用が内方向に働く心取りをして眼球運動が楽に行えるように、眼位を修正します。 内斜位のあるかたは、外方向に働くプリズム作用を利用します。 たとえば、度数がS−5.00D、PDが62mmで外斜位のあるかたに、光心を64mmに入れることによって眼位ズレが1△修正されることになります。 <緑色の文字をクリックしてください> |
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■適切な心取りとは しかし外斜位があれば、「常に光心はPDよりも広くいれればいい」というわけではありません。眼位が修正されたとしても、光心を広く入れることによる空間視の違和感で気分の悪いメガネになることもあります。 ですから心取りはいろんな点を考慮に入れて調製しないといけないのです。 ・斜位の程度はどうなのか。 ・眼の疲れはどうなのか。 ・輻湊力、開散力はどれぐらいあるのか。 ・メガネの使用目的はどうなのか。 ・空間視の違和感を感じやすいのか。 ・前のメガネのPD光心はどうだったか。 など、お客様との共同作業で適切な心取りをしていきます。 では、最も不適切な心取りとは。 強度近視で、光心の上下位置が適切でない場合です。 それは、人間の眼の眼球運動は「上下方向は、水平方向に比較して柔軟には動きません」ゆえに、上下プリズム誤差が生じると眼の疲れる確率がグッと高くなるからです。 |
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眼精疲労や原因不明の首、肩コリや片頭痛など、眼鏡の心取りに問題がある場合があります。 いい加減な心取りをしている売上第一主義のメガネ店も少なくありません。 眼の健康や身体の健康には、技術優先のメガネ店でメガネを調製してください。 メガネの通販はハナから適切な心取りはできません。 |
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